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レビュー「マスタリングTCP/IP OpenFlow編」

ネットワーク技術者御用達のマスタリング TCP/IP シリーズから、OpenFlow 編が出ました。著者の方から献本頂きましたので、レビューをしたいと思います。

マスタリングTCP/IP OpenFlow編

マスタリングTCP/IP OpenFlow編

第 1 章 OpenFlow 概要

成り立ちから動作例まで、OpenFlow の概要について書かれた章です。成り立ちについても紋切り的な説明に終始せず、なぜこのような仕様になったのか、仕様策定の裏側が伺えるような説明がされています。

また、OpenFlow チャネルで使用するためのネットワークについてもきちんと説明されており、一般的なネットワーク技術者が疑問に思うだろう点が丁寧に取り上げられている印象です。

OpenFlow の概要を抑えるのに、まさに十分な章となっています。

第 2 章 OpenFlow 1.0 の仕組み

この章以降で、概要からさらに踏み込んだ説明がされていきます。まずは第 2 章で OpenFlow 1.0 の仕様の詳細が説明されます。

ここで嬉しいのはメッセージのパケットフォーマットが記載されているところですね。デバッグ時、セキュアチャネルを tcpdump で覗く時に役立つこと間違いなしです。

第 3 章 〜 第 6 章

これらの章では、LLDP によるトポロジー検出の仕組みから、ユースケースまで、主に OpenFlow の活用例が紹介されています。LLDP 等 OpenFlow を活用する上で必要不可欠な周辺技術についても丁寧に説明してある点が、この本の良いところです。

第 7 章 〜 第 9 章

OpenFlow 1.1, 1.2, 1.3 で追加された仕様について説明された章です。昨今 OpenFlow 1.3 対応機器が増えつつある中、仕様を理解するために日本語での説明は非常にありがたいです。

これらの章も単に仕様の説明に終始せず、関連するネットワーク技術についても合わせて紹介されており、どのように利用するのかがイメージできるようわかりやすく説明されています。

第 10 章 〜 第 11 章

OpenFlow の留意事項とこれからについて書かれています。使用時に気をつけるべきポイントがまとめてあるため、OpenFlow を実際に使う人には役に立つ章となっています。

全体を通して

この本は、単に仕様や使い方を説明するのみならず、読者が気になるだろう点に関して踏み込んだ説明をしてくれています。OpenFlow の仕組みを理解したい人や、OpenFlow を使って何かをしたい人など、多くの人にとって役立つ本だと思います。